株式会社S-fleage
  • サービス
  • 会社情報
  • セミナー
  • ニュース
  • 資料
  • ブログ
  • 採用
SEO競合分析 競合サイトの戦略を把握 キーワード市場調査 検索市場の規模・難易度を調査 上位記事コンテンツ分析 上位表示の成功要因を解明
お見積もり・ご依頼 具体的なご依頼内容がある方 無料相談予約 課題整理・施策検討のご相談
  • コンテンツマーケティング

    2026/03/04

    広告はSEOに効くのか?チョコザップとカブアンドのGoogle Trendsが示す「指名検索の構造」

    永井 雄一

    株式会社S-fleage 代表取締役CEO
    京都大学大学院 MBA|同志社大学大学院 博士課程在籍

    サイバーエージェントでデジタルマーケティング戦略支援に携わった後、2016年に創業。デジタルマーケティング領域は10年以上のキャリア。

    目次

    • 1 チョコザップがライザップを「飲み込んだ」日
    • 2 5つのブランドをGoogle Trendsに並べてわかったこと
    • 3 指名検索は「ダムの貯水量」である──広告は雨、サイトはダム
    • 4 指名検索がSEO全体を底上げする構造──見えにくい「間接効果」
    • 5 なぜこの「当たり前」が見落とされるのか
    • 6 降った雨は、どこかには流れている

    チョコザップがライザップを「飲み込んだ」日

    Google Trendsで「チョコザップ」と「ライザップ」を並べてみた。すると、2022年10月の第1週に、2本の線が交差していた。チョコザップのサービス開始から、わずか3ヶ月後のことです。

    それ以降、チョコザップがライザップを下回った週は一度もない。2022年上半期に平均7.2あったライザップの検索ボリュームは、2025年下半期には3.7まで落ちている。約49%の減少です。一方、チョコザップの検索ボリュームは、TVCMのピーク時に100(Google Trends上の最大値)を記録し、広告を抑えた時期でも15前後を維持し続けている。

    川の流れが変わった、という表現が近いかもしれません。RIZAPグループ全体への関心という「水の総量」はむしろ増えている。しかし「ライザップ」という旧河道は干上がり、「チョコザップ」という新しい河道にすべての水が流れ込んだ。親ブランドの検索需要を子ブランドが完全に吸収するという、ブランドポートフォリオの観点からも興味深い現象です。

    この「川の流れが変わる瞬間」のデータを起点に、指名検索と広告、そしてSEOの関係について考えてみたいと思います。

    5つのブランドをGoogle Trendsに並べてわかったこと

    チョコザップだけでは見えないものがある。そこで、2022年以降に大きな話題を生んだ5つのブランド──チョコザップ、カブアンド、BYD、BAKUNE、ライザップ──をGoogle Trendsで比較してみました。

    グラフを見て最初に目を引くのは、チョコザップとカブアンドの対照的なカーブです。

    カブアンドは2024年11月、前澤友作氏のサービス発表とさんまさん出演CMを起爆点に、検索ボリューム74まで急騰した。会員登録数は20日間で100万人を突破しています。数字だけ見れば、チョコザップの100万人到達(約1年5ヶ月)を圧倒する立ち上がりでしょう。

    しかし、その後の検索推移はまったく異なる軌跡を描いた。カブアンドはピークから8週間で74→13→5と推移し、現在はピーク時の約1/15で推移している。チョコザップはTVCMを止めた2025年下半期でも平均15.6を維持し、ピーク時の1/3程度のベースラインを保っています。

    BYDは2024年4月の長澤まさみ出演CMで一時17まで上昇したものの、基本的には5〜10の範囲で推移。BAKUNEは冬季(11〜1月)に9〜18まで跳ね上がり、それ以外の時期は1〜3に沈む典型的な季節変動型です。

    ここで浮かぶ問いがあります。カブアンドもチョコザップも、ともに大規模な広告投下で認知を獲得した。前者は前澤氏の個人ブランドとテレビCMで、後者もテレビCMで。それなのに、なぜ検索の「持続力」にこれほどの差が生まれるのか。

    指名検索は「ダムの貯水量」である──広告は雨、サイトはダム

    この問いに対する仮説を、ダムと雨の関係で表現してみます。

    テレビCMやPR露出は「雨」です。大量に降れば、指名検索という「水」がどっと流れ込む。しかし水が貯まるかどうかは、ダムの構造──つまり自社サイトの設計とコンテンツの厚み──によって決まる。

    チョコザップのサイトを見てみると、ダムの構造が何層にもなっていることがわかります。全国1,800店舗それぞれの個別ページがある。健康コラムや運動はじめてガイドといったお役立ちコンテンツがある。体験者の声が掲載されている。セルフエステ、セルフ脱毛、ゴルフ、ネイル、フォト、ワークスペースと、サービスごとに独立した詳細ページが存在する。

    CMを見て「チョコザップ」と検索したユーザーが何を知りたいかを考えてみてください。「近くに店舗はあるか」「料金はいくらか」「どんなマシンがあるか」「本当に効果があるのか」──これらすべてに対応するページが自社ドメイン内に用意されている。だから検索したユーザーがサイト内を回遊し、Googleから見ても「チョコザップについて語る最も信頼できる場所」として評価される構造が出来上がっているわけです。

    一方、カブアンドのサイトを訪れると、印象はかなり異なります。トップページ、各サービスの紹介ページ(でんき・ガス・モバイル・ひかり・ほけん・カード)、株引換の説明ページ、FAQサイト、利用規約類。基本的にはこれがすべてです。ブログやコラム、お役立ちコンテンツの類はない。「カブアンド 電気代 比較」「株引換券 いつもらえる」「未公開株 リスク」といった、ユーザーが当然検索するであろうキーワードに応える情報が、自社サイト内に存在していません。

    誤解のないように補足すると、カブアンドが20日間で100万会員を獲得した事実は驚異的です。電気・ガス・モバイル・ひかり・ふるさと納税・保険・クレジットカードと、生活インフラを横断する事業構想のスケールも大きい。だからこそ、ここからサイトのコンテンツ基盤を整備すれば、検索領域においても大きなポテンシャルがあるはずです。

    ただ現時点では、ダムの比喩で言えば「大雨は降ったが、ダムが平らなコンクリート板1枚の状態」に見える。水は貯まらず、比較サイトやニュース記事、SNSの投稿へと流れていく。つまり、自社の指名検索であるにもかかわらず、情報の主導権を他者に握られている構造です。

    指名検索がSEO全体を底上げする構造──見えにくい「間接効果」

    ここまでの話は「指名検索を受け止めるサイト設計が大事」という内容でした。しかし指名検索の影響は、それだけにとどまりません。指名検索の増加は、指名以外のキーワードのSEO順位にも波及する──という構造的な効果があると考えています。

    SEO分析ツールを提供するAhrefsが1億5,000万キーワードを対象に行った調査によれば、Google検索の45.7%はブランド名を含む指名検索だとされています。つまり検索エンジンのトラフィックの半分近くは、ユーザーがすでに特定のブランドを想起した状態で発生している。

    さらに学術的な裏付けもあります。Journal of Economics & Management Strategyに掲載された研究では、ブランドエクイティが1%向上すると、オーガニック検索のクリック率が0.185%増加するという結果が報告されている。興味深いのはその内訳で、「ユーザーがブランドを認知して直接クリックする」直接効果が0.084%、「検索エンジンがそのブランドの順位を引き上げる」間接効果が0.101%となっていた点です。つまり間接効果のほうが大きい。

    チャート3は、チョコザップの検索トレンドに会員数のマイルストーンを重ねたものです。検索のピークと会員数の急増期が時間的に連動していることがわかります。これは「検索が増えたから会員が増えた」のか「会員が増えたから検索が増えた」のか、どちらとも言い切れない。おそらく双方向の因果──正のフィードバックループ──が回っているのでしょう。

    ここで筆者自身の実務上の経験を共有させてください。以前、カードローン領域のクライアントを支援していた際、比較サイトでのアフィリエイト予算を増やして露出を高めたタイミングがありました。テレビCMではなく比較サイト経由での露出です。すると、自社サイトのSEO順位がビッグワード・テールワードを問わず、全体的に底上げされる動きが見られた。体感では1〜2週間程度のタイムラグだったと記憶しています。

    もちろんこれは筆者個人の所感であり、同時期に行っていた他の施策の影響を排除できているわけではありません。因果関係の証明とは言えないでしょう。しかし、先述の学術研究が示す「ブランド認知の向上→検索エンジンの評価向上」という間接効果と照らし合わせると、構造的には整合する体験でした。

    テレビCMであれ、比較サイトでの露出であれ、PR記事であれ──手段は違っても、ブランドへの接触が増えれば指名検索が増え、指名検索が増えればサイト全体のSEO評価に波及する。この構造を前提にすると、「広告はSEOとは無関係」という切り分けが、いかに粗い認識であるかが見えてきます。

    ただし、この構造に過度な期待を持つことにも留意が必要です。指名検索が増えても、サイトのコンテンツが薄ければ「ダムが受け止められない」状態になる。また、指名検索の増加は基本的に広告やPRの従属変数であり、コントロールが難しい。SEOの実務者が日々取り組めるのは、むしろダム側──つまりサイトのコンテンツと構造──の設計です。

    なぜこの「当たり前」が見落とされるのか

    ここまでの話を聞いて、「そんなの当たり前では」と感じた方もいるかもしれません。広告で認知を作り、サイトで受け止める。言葉にすれば単純な話です。

    ところが、現場レベルではこの連携が驚くほど機能していないケースがある。

    まず、SEOの実務に携わっている方なら身に覚えがあるはずですが、月次のSEOレポートで「指名検索の順位」を報告している企業はほとんどありません。自社名で検索すれば1位に表示されるのは当然だから、わざわざ追わない。指名検索の「検索数」はGoogleサーチコンソールやGoogleトレンドで確認することはあっても、その検索をサイトがどう受け止めているか──直帰率は高くないか、ユーザーは何を探して離脱しているか──まで設計されているケースは稀です。

    つまり、多くの企業は指名検索という「ブランドの体温計」の数値は見ているのに、体温が上がったときにサイト側で何を準備すべきかは設計していない。体温だけ測って、処方箋を出していない状態と言えるかもしれません。

    もうひとつ、大手企業特有の構造的な問題があります。テレビCMの担当部署とデジタルマーケティングの担当部署が分かれていて、CMの具体的な内容や放映スケジュールの詳細、放映ボリュームの情報がデジタル側に共有されていないケースです。さらに、自社サイトのコンテンツ管理もマーケティング部署と制作部署で分かれていることがある。

    これはつまり、「雨を降らせる人」と「ダムを管理する人」が別の組織にいて、互いのスケジュールを知らないという状態です。大型のTVCMが放映されるタイミングで、検索して訪れるユーザーに応える新しいコンテンツをサイト側で用意する──という発想自体が、組織構造上生まれにくい。

    Google Trendsのチャートが示すように、TVCMの放映と指名検索のピークはほぼ同時に発生します。チョコザップのデータでは、2023年10月の秋の大型キャンペーン時にピーク100を記録し、2024年5月のGWキャンペーンで91まで跳ね上がっている。このタイミングで自社サイトに厚いコンテンツがあるかないかは、ダムに水が貯まるかどうかの分かれ目です。

    降った雨は、どこかには流れている

    指名検索という水は、消えることがありません。自社サイトに流れなければ、比較サイトやSNSの投稿、ニュース記事、あるいは競合のリスティング広告に流れるだけです。

    チョコザップとカブアンドのGoogle Trendsが示しているのは、「広告で認知を作る」投資と「サイトで検索を受け止める」投資がセットでなければ、片方が無駄になるという構造でした。多くの企業では前者──雨を降らせること──にだけ予算がついている。ダムの建設は後回しにされがちです。

    もしこの記事を読んで何かひとつ持ち帰れるものがあるとすれば、自社のブランド名をGoogleで検索してみてほしい、ということかもしれません。検索結果の1ページ目に並んでいるのは、自社が発信したコンテンツでしょうか。それとも、比較サイトやSNSやニュース記事でしょうか。

    その答えが、いま自社の指名検索という水が「誰のダムに貯まっているか」を教えてくれるはずです。


    データについて
    本記事で使用したGoogle Trendsのデータは、2022年1月〜2026年3月の週次データ(日本)です。Google Trendsの数値は相対値(期間内の最大検索ボリュームを100とした指数)であり、絶対的な検索回数を示すものではありません。ブランド間の比較は同一期間・同一条件で取得したデータに基づいていますが、検索ボリュームの絶対値が異なるブランド同士の直接比較には一定の限界があります。

    参考文献
    ・Ahrefs「Search traffic study」(150Mキーワード分析、指名検索比率45.7%)
    ・Journal of Economics & Management Strategy「ブランドエクイティとオーガニック検索クリックの関係」
    ・Ahrefs「オーガニックトラフィックと株価の相関分析」(上場企業2,000社)
    ・RIZAP GROUP IR資料(chocoZAP会員数推移)
    ・カブ&ピース プレスリリース(会員数100万人到達)

前の記事へ
一覧に戻る

おすすめ記事

SEOとSEMの違いとは?SEMの定義からSEOとの関係性までご紹介

EC業界におけるSEO対策の重要性と大切なポイントや注意点をご紹介します

ドメインパワーでSEO効果が変わる?基礎から施策まで詳しく紹介

SEOライティング初心者が最初に押さえるべきポイント12選

【初心者必見】SEOとは?初心者がまず押さえるべき対策方法を一挙ご紹介

XMLサイトマップとは?作成方法からSEO効果まで網羅的にご紹介!

S-fleage 株式会社エスフレイジ

© 2026 S-fleage Inc.

サービス

  • SEOコンサルティング

会社情報

  • 会社概要
  • ニュース
  • 採用情報

コンテンツ

  • ブログ
  • セミナー
  • 資料ダウンロード

ご相談・お見積もり

  • 無料相談
  • 見積もり依頼

無料分析

  • 競合サイトSEO分析
  • キーワード市場調査
  • 上位記事コンテンツ分析