株式会社S-fleage
  • サービス
  • 会社情報
  • セミナー
  • ニュース
  • 資料
  • ブログ
  • 採用
SEO競合分析 競合サイトの戦略を把握 キーワード市場調査 検索市場の規模・難易度を調査 上位記事コンテンツ分析 上位表示の成功要因を解明
お見積もり・ご依頼 具体的なご依頼内容がある方 無料相談予約 課題整理・施策検討のご相談
  • リスティング広告

    2026/03/12

    指名キーワードで広告を出さなかったら売上どうなった?―eBayの実験とGoogle仕様変更から出た答え

    永井 雄一

    株式会社S-fleage 代表取締役CEO
    京都大学大学院 MBA|同志社大学大学院 博士課程在籍

    サイバーエージェントでデジタルマーケティング戦略支援に携わった後、2016年に創業。デジタルマーケティング領域は10年以上のキャリア。

    目次

    • 1 「指名キーワード広告って、うちは出した方がいいんですか?」という問いへの正直な答え
    • 2 eBayの壮大な実験:指名キーワード広告を止めたらどうなるか
    • 3 ROI 4,173%の罠。広告効果における「相関と因果の混同」
    • 4 「eBayの結論」を自社にそのまま当てはめてはいけない理由
    • 5 Googleの「拡張配信」が変えた、防衛的広告の前提
    • 6 出稿判断を分ける2つの軸:「ブランド確立度」と「競合出現リスク」
    • 7 代理店のレポートを鵜呑みにせず、自社の「現在地」で判断を
    • 8 参考文献

    「指名キーワード広告って、うちは出した方がいいんですか?」という問いへの正直な答え

    クライアントから、この質問を受けることが少なくありません。自社名で検索したときに広告を出すべきかどうか。費用対効果はあるのか。代理店に任せているが実態がよくわからない。そういった文脈でこの問いは飛んできます。

    答えを先に言います。「あなたの会社がどういう状況にあるかによって、答えは真逆になります」。

    これは曖昧な逃げではなく、実際にそういう構造になっているという話です。その理由を順を追って説明します。

    eBayの壮大な実験:指名キーワード広告を止めたらどうなるか

    2012年、eBayは大胆な実験を行いました。自社ブランド名を含む検索キーワード、つまり「ebay shoes」「ebay electronics」といった指名キーワードに対する広告出稿を、Yahoo!とMSN(Bing)で意図的に停止したのです。

    結果は明確でした。広告を止めたことで失われたクリックのうち、99.5%が自然検索(オーガニック検索)に代替されました。ユーザーは広告がなくても、検索結果の自然枠からeBayのサイトにたどり着いていました。売上への影響は統計的にゼロ。広告費を払っていたのは、もともとeBayに来る人たちに「有料の入口」を提供していただけだったわけです。

    さらに、非ブランドキーワード(一般商材名など)についても同様の実験が行われました。米国の210市場圏のうち約30%で、すべての非ブランドキーワード広告を60日間停止する大規模な地理的実験です。その結果、広告が売上全体に与えた影響はわずか0.66%で、統計的に有意ではありませんでした。

    この研究はEconometrica(経済学のトップ査読誌)に掲載された論文として公開されており、方法論的に信頼性の高い研究です。単なる業界レポートとは重みが違います。

    ROI 4,173%の罠。広告効果における「相関と因果の混同」

    この節は分析手法の話が中心です。「結論だけ知りたい」という方は次の節まで読み飛ばしていただいて構いません。

    広告効果の測定には、長年解決されてこなかった根本的な問題があります。それは「相関と因果の混同」です。

    従来の測定手法(回帰分析)では、「広告をクリックして購買したユーザー」の行動をそのまま広告の成果として計上します。しかしこのアプローチには根本的な欠陥があります。広告をクリックするユーザーは、そもそも購買意図が高い人たちです。「広告があったから買った」のではなく、「どうせ買うつもりだったのに、たまたま広告を経由した」ケースを広告の手柄として数えてしまう。その結果、ROIが4,173%という非現実的な数字になります。広告に1円使えば42円返ってくるという計算で、これが業界標準の測定手法から出てくる数字です。

    eBayの実験はこの問題を正面から解決しました。薬の治験と同じ発想です。新薬の効果を測るとき、製薬会社は「飲む人」と「飲まない人」をランダムに分けて比較します。eBayも同様に、広告を表示する地域と表示しない地域をランダムに分け、その売上の差だけを広告効果として測定しました。純粋な差分だけを見ると、効果はほぼゼロ。ROIはマイナス63%でした。

    同じデータ、同じ会社、同じ期間を見ているにもかかわらず、測定手法の違いだけでROIが4,173%とマイナス63%に分かれる。この乖離こそが、業界全体が抱える測定リテラシーの問題を象徴しています。

    さらに興味深いのは、ユーザー層によって広告効果がまったく異なるという発見です。購買頻度が低い新規・非頻繁ユーザーには有意な広告効果がありましたが、年間3回以上購買するヘビーユーザーへの効果はほぼゼロでした。

    購買頻度別:指名キーワード広告の効果

    問題はここです。広告費の大半は、効果がないヘビーユーザーのクリックに消えていました。効果がある層は少数派で、費用を食っている層が多数派という逆転構造が、全体のROIをマイナスに押し下げていたのです。

    「eBayの結論」を自社にそのまま当てはめてはいけない理由

    この結論をそのまま自社に当てはめるのは、少し立ち止まって考える必要があります。

    eBayは実験時点で、米国における圧倒的なブランド認知を持っていました。「eBay」と検索する人は、すでにeBayを知っていて、eBayに行こうとしている人です。広告はその人たちの「最後の一歩」を有料化していただけでした。

    ところが、ブランド認知がまだ確立されていない企業の場合、話は変わります。同じ研究の中でも、新規ユーザーや購買頻度の低いユーザーには有意な広告効果が確認されています。自社のことをまだ知らない人、あるいはうっすら知っているが購買に至っていない人に対しては、広告が「情報提供」として機能するからです。

    論文の著者自身も「新興・中小企業への一般化には慎重であるべき」と明記しています。eBayの結論は「知名度が確立した大企業の話」として受け取るべきで、日本の多くの中小企業にそのまま適用できるものではないと考えています。

    Googleの「拡張配信」が変えた、防衛的広告の前提

    話をさらに複雑にしているのが、Google広告の仕様変更です。

    私がクライアントに指名キーワード広告の出稿を検討する際、以前は「競合他社が実際に自社名で広告を出しているかどうか」を確認してから判断するというアプローチを取っていました。競合が出ていなければ不要、出ているなら防衛的に出す、という考え方です。

    ところが現在は、競合他社が意図していなくても自社の会社名で広告が表示される可能性があります。これはGoogleのキーワード拡張配信の仕組みによるものです。競合他社が「一般的な商材キーワード」だけで広告設定をしていても、Googleが独自の判断で関連性があると見なしたブランドキーワードにまで配信を広げることがあります。

    これを防ぐには、競合他社側が広告設定に除外キーワードとして他社ブランド名を設定する必要があります。しかし多くの企業はそこまで細かく管理していません。結果として、競合が意図せず自社の指名検索結果に現れるという状況が、構造的に生じやすくなっています。「競合が出稿しているかどうか確認してから判断する」という以前の判断フレームは、この仕様変更によって使いにくくなりつつあると感じています。

    出稿判断を分ける2つの軸:「ブランド確立度」と「競合出現リスク」

    eBayの研究とこれまでの実務経験を踏まえ、私は指名キーワード広告の判断を2軸で整理しています。「自社のブランド確立度」と「競合が指名検索に出現するリスク」です。

    指名キーワード広告 出稿判断マトリクス

    ブランド確立済みで競合出現リスクが低い場合(A)、eBayの実験に最も近い状況です。指名キーワード広告を出稿しても、ユーザーは自然検索でたどり着きます。出稿の優先度は低いと判断します。

    ブランド確立済みで競合出現リスクが高い場合(B)も、私の考えでは出稿は基本的に不要です。eBayの実験が示したように、ブランド認知が強ければ競合広告が出ていても自然検索での代替がほぼ完全に起きます。広告費をかけても純粋な効果はほぼ見込めないと考えます。

    ブランド未確立で競合出現リスクが低い場合(C)、拡張配信のリスクを考えると出稿した方が安全です。加えて、この状況ではeBayとは異なり、新規・非頻繁ユーザーへの情報提供効果が働く可能性があります。

    ブランド未確立で競合出現リスクが高い場合(D)は、出稿すべきです。ブランド認知の形成途上で指名検索を競合に奪われることは、ユーザーとの最初の接点を失うことを意味します。ここは費用対効果以前の問題として捉えています。

    代理店のレポートを鵜呑みにせず、自社の「現在地」で判断を

    指名キーワード広告に限らず、広告効果の測定において「代理店が出してくるROIの数字」を鵜呑みにすることには注意が必要です。eBayほどの企業が、測定手法の誤りによって効果のない広告に巨額を投じ続けていた。その背景には、ROI 4,173%という数字を疑う仕組みが社内になかったという現実があります。

    結論として私はこう考えています。ブランドが確立している企業にとって、指名キーワード広告はユーザーが自然検索で代替できる入口に対して費用を払っているに過ぎません。一方、ブランド認知がまだ途上にある企業にとっては、Googleの拡張配信という構造的リスクを考えると、出稿しないことの方がリスクです。「広告は出した方がいい」でも「広告は不要」でもなく、自社のブランド現在地によって答えが180度変わる。その判断を代理店に丸投げしている限り、eBayが陥ったのと同じ罠から抜け出すことは難しいと考えます。

    参考文献

    Blake, T., Nosko, C., & Tadelis, S. (2015). Consumer Heterogeneity and Paid Search Effectiveness: A Large-Scale Field Experiment. Econometrica, 83(1), 155–174.
    https://faculty.haas.berkeley.edu/stadelis/BNT_ECMA_rev.pdf

    Google広告ヘルプ「キーワードのマッチタイプについて」
    Google 広告ヘルプ(Google LLC)

前の記事へ
一覧に戻る

おすすめ記事

ドメインパワーの調べ方|ドメインパワーを強化する方法をまとめてご紹介!

Webマーケティング初心者がおさえるべき基本事項をまとめて紹介

SEOキーワードの正しい選定方法とは?初心者でもできる方法を徹底解説!

コンテンツマーケティングとは?情報配信が築く中長期的な顧客関係

XRがコンテンツマーケティングで果たす役割とは?没入体験で顧客獲得

【海外SEO】海外集客向けSEO対策!日本SEOとの違いや作成方法を解説

S-fleage 株式会社エスフレイジ

© 2026 S-fleage Inc.

サービス

  • SEOコンサルティング

会社情報

  • 会社概要
  • ニュース
  • 採用情報

コンテンツ

  • ブログ
  • セミナー
  • 資料ダウンロード

ご相談・お見積もり

  • 無料相談
  • 見積もり依頼

無料分析

  • 競合サイトSEO分析
  • キーワード市場調査
  • 上位記事コンテンツ分析