2026/02/02

SEO支援をしていると、どれだけ施策を打っても検索流入が伸びにくい市場に出会うことがあります。
コンテンツの質が悪いわけではない。サイト構造に問題があるわけでもない。それでも伸びない。
こういうケースの多くに共通しているのが、「そもそも顕在キーワードが存在しない」という構造的な問題です。
目次
例えば、製造業向けの「予知保全ツール」を考えてみます。
このツールは、設備の異常を事前に検知して故障を防ぐためのものです。工場の設備担当者にとっては明確な課題解決手段になり得ます。
しかし、担当者は「予知保全ツール 比較」「設備異常検知 サービス」とは検索しません。
なぜか。そもそも「予知保全ツール」というカテゴリ名を知らないからです。
担当者の頭の中にあるのは「最近、機械の調子がおかしい」「突発的な故障で生産ラインが止まって困っている」という課題であって、その解決手段の名前ではありません。
これはニッチなBtoBツール市場でよく見られる構造です。
言い換えれば、「ユーザーが解決策の名前で検索しない状態」です。
SEOは「キーワード」を起点にした仕組みです。
ユーザーが検索窓に入力したキーワードに対して、最も適切なコンテンツを返す。これがGoogleの基本的な動作です。
つまり、キーワードが入力されなければ、どれだけ良いコンテンツを持っていても見つけてもらえません。
顕在キーワードが少ない市場では、この構造自体がボトルネックになります。
「予知保全ツール 比較」の月間検索ボリュームが100回しかなければ、そのキーワードで1位を取っても月100人にしかリーチできない。これはSEOの努力では解決できない問題です。
ここでAI検索(ChatGPTやGeminiなど)の登場です。
AI検索では、ユーザーは「キーワード」ではなく「課題」をそのまま入力できます。
例えばこんな質問です。
これらは「予知保全ツール」というキーワードを一切含んでいません。でもAIはこの課題を理解し、「それなら予知保全という手法があります」「こういうツールがあります」と回答できます。
つまり、ユーザーが解決手段の名前を知らなくても、課題さえ伝えれば適切な情報にたどり着ける。
これがSEOとAI検索の決定的な違いです。
逆説的ですが、SEOで苦戦してきた市場ほど、AI検索への対応で得られるリターンは大きい可能性があります。
SEOでは「キーワードがない」ことが致命的でした。でもAI検索では、キーワードがなくても課題ベースで接点を持てる。
これまでSEOでは届かなかった「課題は持っているが、解決手段を知らない層」に、初めてリーチできるようになるかもしれません。
もちろん、AIに自社の情報を正しく認識してもらう必要があります。AIが「この課題にはこのツールが有効」と理解していなければ、推奨されることはありません。
具体的には、自社の商品が「どんな課題を解決するものか」をWebサイト上で明確に言語化し、FAQや構造化データなどを通じてAIが読み取りやすい形に整えることが求められます。従来のキーワード最適化とは異なるアプローチです。
そして、AI検索も万能ではありません。対応すれば自動的に選ばれるわけではなく、継続的な改善が必要です。それでも、「キーワードが存在しない」という構造的なハンデがなくなるだけで、可能性は大きく広がります。
AI検索時代に向けて、まず確認すべきポイントは3つあります。
自社が解決している「課題」を言語化できているか
キーワードではなく、ユーザーが抱える悩みや困りごとの言葉で説明できているか
課題ベースのコンテンツがあるか
「○○ツールとは」ではなく「○○で困っている人へ」という切り口のコンテンツがあるか
AIが参照しやすい形になっているか
FAQ形式、明確な定義文、構造化データなど、AIが情報を拾いやすい構造になっているか
これらは大規模な施策ではなく、既存コンテンツの見直しから始められます。
「SEOで成果が出にくい」と感じている方は、その原因が施策の問題ではなく、市場構造の問題である可能性を一度検討してみてください。
まずは、自社商材の「課題」をAIに質問してみて、自社が正しく推奨されるか確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。